私は手紙が好きだ。もらっても嬉しいし、書くのも好きだ。
手紙には、送り主の伝えたいメッセージと貰い手を思いやる温かい気持ちが詰まっていると思う。
そのメッセージは、ときに貰い手以外の人の気持ちを動かすこともある。
日本にいたとき、大学の親友から手紙を見せてもらった。
その子が昇進したお祝いで、会社の先輩がくれたものだそうだ。
親友はすごく手紙が嬉しかったと言って、私にも中身を見せてくれた。
〇〇へ
昇進おめでとう。
これまでの頑張りが評価された結果だね。これからの〇〇の成長も楽しみです。
みんなをまとめて引っ張っていく人。
場を盛り上げて雰囲気を明るくする人。
困っている時、悲しい時に、優しく寄り添ってくれる人。
話すとなんだかほっとする人。
どんな人になっていきたいか良く考えて、〇〇の良さを活かしてこれからも頑張ってね。
xxより
確かこんな感じの内容だった。
一回読ませてもらっただけなのに、すごく印象に残った。
自分はこれからどんな人になっていきたいんだろう。
親友に向けた手紙なのに、ズーンと心に刺さった。
会社で評価されるのは、どちらかと言えばリーダーシップだと思う。
でも、手紙にあるような優しく寄り添ってくれる人や話すとホッとする人って実はとても重要な気がする。
前の会社では、相手をいかにロジカルに論破するかが重要とされ、何を言われても撃ち返せるだけの論理武装を求められた。それが正解だと思って、必死に武装するようにしてきた。
会議ではできるだけ頭を早く回転させて、皆が納得する正しいことを言わなきゃ。Think Fast!!
でもそれってちょっと頭でっかちだよねぇ。頑張ってもきっと空回り。
きっと話を聞いている方もなんだかすっきりしない、モヤモヤ感が心に残ってしまうのではないか。
自分はそういうビジネスマンになりたかったんだっけ?
働いていてどんな時に自分は嬉しいと感じるだろう。
会社という舞台で、どんな表現をしていきたい?
山田ズーニー教授の本「理解という名の愛が欲しい」に、こんなことが書いてあった。
“表現とは、自分の外に表れ出た、人から見えるものすべて。 肉体も、着るものも、化粧も、たたずまいも、言葉も。“
これからこの決して大きくはない体にどんな服を着せて、どんな言葉を選び、何のスキルを磨いて、どんな人になっていこう。
一旦立ち止まって、ゆっくり考えてみよう。