4月からバンコクで働くことになった。
初めての海外勤務。
初めてのタイ人の同僚。
初めての単身赴任。
何もかも初めてで、期待と不安が入り混じった気持ちだ。
今年で31歳。
20代のころは喉から手が出るほど、海外で働きたかった。
色んな人種と言葉、異なる文化や宗教。日本とは異なる新たな環境にとにかく惹かれ、どこでも良いから海外で働きたかった。
慣れていない海外生活は常に刺激的で苦労も多いが、どんな小さなこと(例えばちょっと難しい英語のフレーズをスムーズに伝えられたとか)でも、何か一つ達成する度に大きな喜びを得られるのが好きだった。
でも30代になって、そんな気持ちも忘れかけていた。
日本である程度責任のある仕事も任されるようになり、仕事自体も楽しかったし、広くはないが清潔で心地の良いマンションの部屋も買った。
そろそろ子どもを作ろうかな、なんて考えたりもしていた。
いつしか海外に行きたい気持ちは心のどこかに仕舞いこんで、半ば諦めかけていた。だから、海外赴任してきた人たちの話を飲み会なんかで聞くと、「いいなぁ」と羨ましく思う反面、もう自分にはそんなチャンスは無いだろうなぁと思っていたのだった。
だから、海外に行ってみない?と上司に言われたときは、本当に驚いた。
奥底に仕舞いこんでいた海外勤務への気持ちを引っ張り出すのは容易だった。
こんな機会は二度とない。
色々吸収して帰ってこよう。
新しい環境はいつでも新たな気づきや感情を生み出してくれる。
普通にぬぼーっとしているとそんな新しい発見や感情の機微にも気づかず垂れ流したままになってしまうので、ちょっとした日常生活の気づきをブログに記録していこうと思う。
坂本龍一氏が、何かのインタビューでこんなことを言っていた。
「喜びは自分へのご褒美。歳をとると、ご褒美を上げるしきい値がどんどん上がっていく。それが成熟である。」
このブログには、慣れた環境では得ることのできない、小さな喜びを沢山記録していきたい。
続くといいな。